まとめ方について

2020年10月15日木曜日

4. 研究 4.1. 流れ

t f B! P L

研究のデータが出てきた場合を考えよう.


その結果はまとまるか?仮説に基づく検証結果は得られているか,データを取っている間も考えておこう.

大体は「あれ,なんか違う」と思うことが世の常である.また,当初の予定通りに行かなそうだなと思った場合,「失敗した!」と思ってしまうのは早とちりである.予定でなかった事は何?それはまずい事?よく考えれば良いことにならないか?等々,客観的な事実と合わせ込むことが大切だと思う.それが実験の醍醐味というものだと思う.

そして,共同研究者とも実験結果について話し合おう.昼飯を食べてる時でもいいので,「やってみたら結果が想像と違ってたんよ.どういう場合が考えられるかなあ?」と相談してみよう.自分一人でやっていたら,一人分の考察でしかないと思う.多面的に考えることが研究には必要で,そのためには年齢に関係なく「気づいたことがあれば言ってね」といえる職場の雰囲気が大切なんかなあと自分の経験も含めて思うのである.


追試をやってみてもどーにもこーにもまとまらないのなら、泣く泣く再度計画を立て直そう.きっと将来の自分(共同研究者も)の役に立つと思っての再出発である.できないことが分かったということでも科学は発展すると思って,しばし休憩を取ったら「テーマ選定」からやり直そう.


研究のまとめ方.序論、目的、方法、結果、考察、結論、謝辞.

研究のまとめは、大体次のようになる.序論、目的、方法、結果、考察、結論、謝辞.


序論,考察,謝辞はちょっと置いて,まずはじめに結果の図、表を完成させよう。

図,表を取るのにどうしたのかを記述するのが方法である.具体的に,かつ短く書こう.

そして,目的と結論を書こう.目的は「臨床で許容できる画像照合間隔について検討すること.」となっていれば,結論では「画像照合間隔を3分にすれば「D95の線量低下5%未満」を達成できることが示唆された.」というように,対となっていなければ失格らしい.

最後にタイトルを書こう.タイトルはインパクトのあるものがいいらしいが,僕にはなかなか難しいので,具体的に,かつ短く書くということしか言えない...


数年前の地方学会に僕の出した発表の一例を示す.これも「うーん,完璧!」という訳ではないのだが,この程度でもなんとか発表出来とるよという程度に思っといて欲しいな.


これができたら,学会発表の下準備終了である.Good job !



例題.

Dosimetric Effects of Intra-Fraction Variation Corresponded to Imaging Interval for Intracranial Stereotactic Radiosurgery: a treatment planning study

頭部放射線治療において画像照合間隔とIntra-Fraction Motionが線量集中性に与える影響: 治療計画による検討

【目的】頭蓋内定位放射線治療においてIntra-fraction motion (IFM)が標的の線量集中性に与える影響を画像照合間隔毎に明らかにし,臨床で許容できる画像照合間隔について検討すること.

【方法】熱可塑性マスクを使用した患者17名を対象とし,自作装置で0.2秒毎に計測した計590,249照合から画像照合間隔毎にIFMとその発生確率を求めた.次にMultiplan <SUP>®</SUP>を用い,均質な人頭ファントム内の直径10-30 mmの球形の標的に対して治療計画を立てた.最後に次の<B>a</B>から<B>c</B>の手順により,Worst caseを想定したIFMによる線量変化を評価した.<B>a</B> IFMは値の大きい順に且つビームは標的線量への影響度の高い順に,IFMの発生確率に応じた照射時間となるよう各ビームとIFMとを関連付けた.<B>b</B> IFMの値に応じてビームを平行に変位させた.<B>c</B> 標的の95%以上の容積に照射される線量(D95)と平均線量を算出し,元の計画と比較した.

【結果】治療計画のビーム数は10-30 mmの標的でそれぞれ,38-42本であった.1-25分の照合間隔における D95と平均線量の変化率 (%)は10,20,及び30 mmの標的でそれぞれ,(-3.0--10.4, -1.1--4.0), (-2.3--4.0,-0.6--1.4), (-0.2--2.8, -0.3--0.7) であった.

【結論】球状の標的を仮定した治療計画による検討では,画像照合間隔が長いほど及び標的が小さいほど標的の線量集中性は低下した.画像照合間隔を3分にすれば「D95の線量低下5%未満」を達成できることが示唆された.


15-Oct 2020


自己紹介

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2019年に脳出血を発症し(右片麻痺、失語症),2021年に復職しました。生きている事に感謝。 アメブロ : https://ameblo.jp/hirocchan169

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